ビジュアル再現 村上城 ~3DCGでよみがえる村上城~ ロゴ
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村上城下に「住民」を!

村上城下に「住民」を!

人間がいないとスケール感がわかりにくい

城サイトなんだかCGサイトなんだか、立ち位置がイマイチよくわからなくなりつつある当サイトですが、目下、3D城下町の精度を上げるべく、裏方作業を進めています。建物形状のリファイン、テクスチャの改良etc、やるべきことは多々ありますが、この度、城下に「住民」を加えようと思いたちました。

単純に殺風景なシーンをなんとかしたい…というのもありますが、建築物だけのCGでは、どうにも町のスケール感が伝わりません。一応、各建物のサイズはそれなりの精度で作ったつもりなのですが、比較対象である人間がいないため、画像として見た際の感覚がつかみ辛いのです。

以下は、試験的に遠景用のごく単純な人物モデルを街路上に配置してみたものです。ちょっとしたことですが、建物のスケール感やシーン全体の「生活感」が結構わかりやすくなった気がします。

仮置きした人物モデル

人物モデルを作ってみた

というわけで、近接モーション用にも、ちゃんと人物モデルを作成してみることにしました。あんまりテキトーに作るのも申し訳ないので、CGの設定年代である、1660~1700年ごろの、とある職人世帯を想定。

◆大工・B五郎氏

B五郎

設定:大工
年齢:35歳
身長:155cm

城下の職人層の代表として、腕利きの「村上大工」として設定。当時は城郭や神社仏閣の補修などで大忙しだったであろう。
装束に関する資料は限られるが、「村上市史 民俗編」の「町のデタチ」に関する記述や、明治~戦前期の古写真を参考にすると、大工や左官の場合、ズボン型の「筒袖」に前掛けや上着を羽織ったスタイルが多かったようである。
ライフサイクル上、修行期間が長かったと思われるので、所帯を持ったのは、当時の平均よりは遅めの30歳ごろと設定。職業の性質上、筋肉質な体つきとした。

◆B五郎の妻・おAさん

おAさん

設定:B五郎の妻
年齢:26歳
身長:142cm

町の女性の典型例として設定。地方都市の一般住民ということで、着物は時代劇に出てくるようなものよりは、かなり地味な色・柄とした。また、当時の着物は「日常着」として使われていたので、現代我々が見るほぼ礼服化した着物よりは、かなりヨレヨレたシルエットであったろう。
髪の結い方は時代により様々な流行があったようだが、そもそも一般ピープルはかなりアバウトな結い方だったようだ。
家事労働をハードにこなす働き者なので、特に腕などは若干強めに造形した。

◆夫妻の一人息子・C之助

C之助

設定:B五郎、おA夫婦の子ども
年齢:5~6歳
身長:100cm
苦手:寺子屋の手習い

現在の年長~小1に相当する元気な男の子として設定。現代の子どもよりも、身長を10cm程度低く設定した。
パンクな髪型(?)が目を引くが、このくらいの年齢の子どもは、一部を残して髪を剃り落とすのが、当時の一般的なスタイルだったようだ。(剃り方のバリエーションそのものは結構あるっぽい)。
着物は子どもらしく若干明るめの黄色。よく転んだりするため、裾部分は傷んだり、当て布がされている様子を再現。

◆大店の娘・おDさん

おDさん

設定:大店の一人娘
年齢:19歳
身長:145cm

3人ではちょっとシーンが持たないので、通りすがりの大店の娘として設定した追加キャラクター。
暮らし向きのよい家の娘なので、同じ城下の女性でもおAさんよりは生活感薄めの造形に。身につけているものや小物類に関しても、シワ、ヨレの類は少な目にしておいた。
おおざっぱな想定はしたものの、服飾史に詳しいわけではないので、着物の色やら柄はかなりテキトーである。一応、設定年齢の若さを考慮し、明るい色の着物にしておいた。

生活感が出せる…のか?

3Dいじって約10年、これまで一切人間をつくったことがなかったとはいえ、なんちゅうか「昔のプレステ」感が激しく漂っている気が…。まあ、建物のサイズ感をわかりやすくする、という当初の目的は一応果たしているし、主役はあくまで建築なので、人物の作り込みはこれで妥協することにします。

それぞれの人物にはボーンを仕込んで動かせるようにしてみました。単純なモーションであれば、ある程度は動けるはずなので、もうちょっと職業や年齢構成のバリエーションを増やして、動画に反映させるのもアリかもしれません。…あ、草履履かせてあげるの忘れてた、、すまん、B五郎一家。

CG村上城下の住民B五郎一家

(初稿:2017_12_06/2稿:2017_12_09)