ビジュアル再現 村上城 ~3DCGでよみがえる村上城~ ロゴ
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城系VR・ARアプリ選

普及する城系(!)VR・ARアプリ

CGを利用して、あたかもその場にいるかのような臨場感を生み出すVR・AR技術。ここ数年で城関係のスマホアプリに搭載されることも増え、有名城郭はもちろん、地方の中小城郭においてもVR・ARコンテンツが気軽に楽しめるようになりました。筆者がざっと調べてみたところ、各地の整備状況は以下のような感じ。ヌケモレも多いかと思いますが、結構全国まんべんなくあるようです。

村上城の画像再現をコンセプトとする当サイトにとっても、そうした動きは気になるところです。城系VR・ARアプリの現状について、少々まとめてみました。

全国の城関連VR・ARマップ

ストリートミュージアム/独立系アプリ/現地施設・端末貸し出し型

数え方にもよるとは思いますが、VR・ARと銘打った城系コンテンツは、2021年08月現在、全国で約50箇所程度あるようです。文字通りのVRやARから、CGムービーやクイズ形式といったものまで、内容は結構バリエーションに富んでいます。実のところ、何を持ってVR/ARと称しているのか、定義はあまりはっきりしていないようです。

配信方法は主に3パターン。まず一つ目が「VR○○城/AR□□城」といった独立系アプリ。自治体や企業が独自に作って配布しているものなので、リアルな再現に拘ったものから、もともとあった3DデータをVR向けに変換したものまで、各地の事情によって様々です。2つ目が、凸版印刷が展開している「ストリートミュージアム」というアプリ内で提供されているもの。歴史系CGの大手である同社が自治体から受託を受けて制作したコンテンツは、基本的にこのアプリを通して配信され、独立系アプリと勢力を二分する形になっています。最後に3つ目が、アプリ配信ではなく、各自治体の資料館や博物館内での上映、もしくは端末貸出方式のみで提供されているもの。このパターンはなかなか検索にもひっかかってこないので、ここで拾い切れなかったものも結構あるかと思います。

なお、ウチのサイトで配信しているようなWebVR形式は少数派。いまのところVR上田城福山城バーチャルツアー、Googleストリートビューのプラットフォームを利用した壬生城のみ??

城郭名対応OS非現地対応概要
仙台城--「仙台城VR GO」。青葉城資料展示館で専用のVRゴーグルを借りると、見どころポイント9箇所で、360度パノラマ画像を視聴可。
山形城--本丸御殿をVR化! オブジェクトVR(立体モデルをぐりぐり回せる)と、360度パノラマの2つのコンテンツを公式WEBサイト&Youtube上で見られます。
会津若松城--「VR幕末の会津若松」を鉄門内で上映。「幕末の鶴ヶ城の中を巡る」「城下町を巡る」「鷹になった気分で空から城下を巡る」の3つのコースあり。
小峰城--小峰城歴史館にて270度スクリーンに投影した「小峰城VRシアター」や「VR望遠鏡」を視聴可。また、現地貸し出しのタブレットで、城跡を体感できる「AR観光アプリ」も利用できる。
宇都宮城Android
iOS
-「VR・AR宇都宮城」をストリートミュージアム内で提供。現地のマーカーにかざすと、本丸内や御成御殿をVR表示するほか、清水門と伊賀門を現実の風景にAR表示。
壬生城WebVRすべて視聴可「壬生城大手VR」を配信。アプリを用いず、Googleストリートビュー上で配信されているのがユニーク。いわゆるパノラマですね。
江戸城Android
iOS
ショートムービーのみストリートミュージアム内で提供。現地に残る石垣上に、かつての建造物を重ね表示するARコンテンツが中心
滝山城Android
iOS
滝山アニメ/滝山MAP表示可独自アプリ「AR滝山城」。現地に残る土塁や空掘の上に、柵や門、櫓を重ね表示するアプリ
甲府城Android
iOS
ショートムービーのみストリートミュージアム内で提供。城と合わせて城下町の再現にも力を入れたコンテンツ構成。
松本城Android
iOS
ショートムービーのみストリートミュージアム内で提供。現地のポイント20箇所で、でスマホをかざすとVR復元された本丸御殿以下、往時の建物が表示されます
上田城WebVRパノラマ/動画独自アプリ「VR上田城」を配信していましたが、2019年12月よりWebVRへと移行! 城内各所の360度パノラマやガイダンスムービーが現地に行かずともみられるようになりました。こういう方式個人的には大賛成!
村上城WebVRすべて視聴可一応ウチのサイトも入れときます。スマホ用ゴーグルにも対応したWebVR(360度パノラマ)コンテンツを配信中。野良コンテンツではあるが(汗
高田城-動画上越市歴史博物館/高田城三重櫓内で視聴可能。かつての高田城とその周辺や、高田城の建物の内部を移動可。なお、 CG動画はYoutubeでもフルバージョンが公開されています。
増山城Android
iOS
-「城ポジ 増山城-謙信の秘刀-」アプリを配布中。戦国時代の増山城を画面表示→GPS連動で現在地を表示したり、城歩きをすながらスタンプラリーができる。アプリ内の所定のミッションをクリアすると砺波市埋蔵文化財センターで「攻城の証」がもらえる。
金沢城Android
iOS
-「VR金沢城」。建物の仮想復元ではなく、現地の遺構に設置したマーカーに対応して、解説文を表示するタイプのアプリ。いわゆる情報表示系ARですね。
小松城Android3DCG「こまつストーンナビAR」。前田利常の手による独特な縄張りが特徴的な小松城を3DCGでグリグリ回せます。現地での記念撮影コンテンツなども搭載しています。
福井城Android
iOS
ショートムービーのみストリートミュージアム内で提供。御本城橋から本丸御殿、天守、天守からの眺望など10箇所の景観を、VR画像を音声ガイドつきで視聴可
一乗谷--現地貸し出しのタブレットで「一乗谷朝倉氏遺跡バーチャルガイド」を配信。計16か所でVR再現されたかつての朝倉館や街並みの様子を視聴可。クイズコンテンツもあり。
岐阜城--近年発掘が進んでいる信長居館跡。発掘調査案内所にて「信長公のおもてなしガイドツアー」を公開中。現地貸出しのタブレットで、動画やARでかつての御殿の様子を視聴可。
岩村城Android
iOS
サンプル1箇所「岩村城再現 CG ビューア」。城内15箇所に設置された看板からQRコードを読み取ることで、CG再現した建物をAR表示。
西尾城Android
iOS
パノラマ/VR視聴可「西尾城デジタルアドベンチャー」。天守からの360度ビューや、建物内部のVRを視聴可。現地に行かなくても見られるコンテンツの率が高い。
彦根城Android
iOS
ショートムービーのみストリートミュージアム内で提供するほか現地のVRシアターでも上映。城郭建築の再現に加え、築城に至るストーリーの見せ方を重視したコンテンツ。
安土城Android
iOS
ショートムービーのみストリートミュージアム内で提供されている「VR安土城」とその現地「信長の館」での上映版、先行して作成された独自アプリ「「VR安土城 タイムスコープ」がある。
高取城Android
iOS
AR高取城の視聴可「ええR高取町」。現地で配布されている観光パンフと連動(2次元バーコード読み取り方式)した設計になっていますが、実はネットからもDL可能。3Dモデルをスマホ上でぐりぐり動かせます。
大和郡山城Android
iOS
パノラマ2箇所パノラマ表示コンテンツが中心。観光アプリ「ココシル」内から、さらに独自アプリを落とす必要アリ。
大阪城Android
iOS
ARコンテンツ表示可「AR大阪豊臣天守」。現在の白い天守のそばに、秀吉が立てた漆黒の大阪城天守を表示。しかも炎上!…ってコピーが物騒である(汗) 民間コンテンツ。
高槻城Android
iOS
検証不能大阪産業大がサポートして作った「AR高槻城」アプリを配信。現地でなくても見られるプレビューモードもあるのだが、ウチの環境では「現地位置取得中」画面でフリーズして動かん。。。
尼崎城--「平成最後」の復元天守ということで色々話題となった尼崎城。天守2階にある幅10mのVRシアターにて「蘇る尼崎城」を上映中。予告編のショートムービーはウェブでも見られます!
和歌山城Android
iOS
ショートムービーのみストリートミュージアム内で、VR映像と街歩きを組み合わせた(?)「和歌山城リアル謎解きゲーム」を提供。
明石城Android
iOS
3DCG「明石城再現・城巡りアプリ(明石城巡り)」。正保図をもとに再現した3DCGを閲覧できるほか、現地のARスポットと連動したコンテンツやクイズなどもあり。3DCGは現地にいかなくても見られる太っ腹仕様!
姫路城Android
iOS
WEB
ショートムービーのみさすが世界遺産だけあって複数のアプリがありますね。ストリートミュージアム内で提供されている「姫路城VRスコープ」。CADセンターが提供している「姫路城大発見ARアプリ」、一部PC限定コンテンツとなりますが「姫路城アーカイブ」でも櫓内部の360度画像や復元CGが公開されています。現地で混乱せんかね?
利神城Android
iOS
3DCG「西播磨の山城へGO」を配信中。3D再現された城の姿をグリグリ回してみられるほか、現地向けコンテンツもアリ。今後は西播磨地域の他の山城も追加される予定のようです!
福山城WebVRパノラマ/動画など「福山城バーチャルツアー」を福山城築城400年サイトにて配信中。3D再現された城内各所を移動しながら、360度周囲を見渡せます。いわゆるWEBパノラマなので、ブラウザがあればどのデバイスでもOK。なお、ストリートミュージアム内でも配信されています。
米子城Android
iOS
紹介動画「ストリートミュージアム」での配信。市内4か所で配布している「米子城ARカード」にスマホをかざすことで、コンテンツが再生できるようになる仕組み。古地図との連動なども考慮されている模様。紹介動画はyoutubeで見られます。
松江城Android
iOS
-「国宝松江城・城下町AR・VR」 天守最上階からの眺望や今は失われた大手門をVR再現するほか、現地で天守を見上げると内部構造を重ね表示するARコンテンツも装備。同天守の特徴である「通し柱」が視覚的に理解できる! これはありそうでなかったアイディアだなぁ。
津和野城Android
iOS
ショートムービーのみ津和野城内の天守や人質櫓などの様子を6か所と、津和野藩庁を津和野川の対岸から眺める1か所の計7か所をVRで再現。また、江戸時代の津和野を描いた「日本遺産・津和野百景図」や現代の地図と古地図の重ね表示なども可。
萩城WebVRパノラマ萩城天守を堀端から望むシーンをVR化。この1か所しか見られないのが残念ですが、現在の写真と過去のシーンを切り替え表示できる点はユニーク。スマホ・タブレット専用コンテンツです。
屋島城Android
iOS
ショートムービーのみ珍しい古代山城コンテンツ。独自アプリ「蘇る屋島城」もあるが、ストリートミュージアム内でも提供。
高松城Android
iOS
ショートムービーのみ独自アプリ「バーチャル高松城」もあるが、ストリートミュージアム内でも提供。CGムービーのみであればyoutubeでも配信されています。現地では無料貸出用タブレット専用コンテンツもアリ。
丸亀城Android
iOS
丸亀城めぐりの一部コンテンツのみいわゆるVR系コンテンツのほか、丸亀城にゆかりの人物と記念撮影ができるなど、エンタメ的な要素も。360M超の重量級アプリ。
今治城Android
iOS
-「今治城AR」。天守展望台からCG再現した江戸時代の城下の風景を見渡せるアプリ。現地利用専用のため、今治城域以外では利用不能。
松山城-
-
紹介動画「VR松山城 謎の姫と幻の合戦」を天守内部で利用可能。いわゆる360度パノラマのほか、仮に松山城を攻めるとしたら…? をシミュレートしたコンテンツなどリッチな内容を含みます。紹介動画はyoutubeにて。なお、別アプリとしてCADセンターが製作した「攻略! 松山城」というアプリもあります。こちらはiOS、Android両対応。
福岡城Android
iOS
ショートムービーのみストリートミュージアム内で提供。天守実在説に基づくVRコンテンツが見られる
宇和島城Android
iOS
-現地専用アプリ。城内4か所でかつての景観をAR表示。現存天守の前に立ってた慶長度天守が見られるというのは興味深い。
福岡城Android
iOS
ショートムービーのみストリートミュージアム内で提供。天守実在説に基づくVRコンテンツが見られる
名護屋城Android
iOS
ショートムービー/パノラマ一部独自アプリ「バーチャル名護屋城」を配信。ストリートミュージアム内でも提供アリ。なお、充実したコンテンツではある模様だが、重量は驚異の600M超。。
熊本城Android
iOS
ショートムービーのみストリートミュージアム内で提供。
原城Android
iOS
ショートムービーのみストリートミュージアム内で提供。
府内城Android
iOS
-「府内城AR」。大分城址公園にある5か所のARスポットから、天守の様子をAR表示。また、大分市教委発行「府内城ウォーキングマップ」の江戸時代の地図にカメラをかざすと、府内城の全容が表示される機能もアリ。
岡城Android
iOS
-「岡城時空散歩 ARガイド」。壮大な規模の石垣で有名な岡城。復元CGのほか、現地のマーカーにかざすと失われた建物をARで重ね表示してくれる…らしいのだが、AR機能に対応していないワタシのスマホではDL不可。残念orz
延岡城Android
iOS
VR視聴可「VR延岡城」アプリ。現地に行かずとも動くVRコンテンツがある。サブタイトルの「千人殺しの石垣」がコワイw

※このほか、制作中・近日公開予定の情報として高山城の情報あり。
筆者スマホでの動作検証による。すべて現地で作動させたわけではないので、内容は参考程度とご理解下さい。



再現精度の明示が今後の争点?

以上のように、多種多様なアプリが展開されているわけですが、基本的には、現地利用を前提に設計されれているものが多いため、アプリをダウンロードして即使えるコンテンツは限られます。また、多くのアプリが100M程度の容量が必要なので、訪城計画と合わせて計画的にDLしておいたほうがよさそうです。

一方、城オタ的には、これらのコンテンツの再現精度が気になります。「仮想現実」「拡張現実」と銘打つ以上、何を根拠に作成されたのかは、観光向けのアプリとはいえしっかり把握したいところです。

実はこの件に関し、文化庁は「文化財の観光活用に向けたVR等の制作・運用ガイドライン」(2018.02)を策定し、その中で「時代考証の取り扱い」を示しています。VR等の対象となる文化財には、多くの場合「確証のある事実は多くはなく諸説がある」ことを前提とした上で、以下の4点を示しています。(同書P.26-27より筆者整理)

1)時代考証が諸説ある場合は一つの説を選定する。
2)一度選定した時代考証の説は一貫して支持する。
3)事業期間の制約(1ヶ年の事業)による時代考証の一部割愛の可能性を踏まえておく。
4)事業目的(観光資源化)による時代考証の一部割愛の可能性を踏まえておく。

争点となるのは「時代考証の一部割愛」を条件付きで許容した3)4)でしょう。あまりにもいい加減な「割愛」であれば、それは妄想になってしまいますし、逆に厳密に排除しすぎれば「仮想」再現すら不可能になってしまいます。どこまでが史実に基づく「復元」で、どこからが考証を「割愛」した部分なのか、VR・ARだからこそ、根拠をもって明示することが重要になってきます。

上記アプリをこの基準にあてはめてみると、多くは監修者の名前を出すなどして、この点に関し一定の配慮をしています。しかし、中には、監修者がはっきりしていないものや「専門家」といった漠とした記述にとどまるケースも見受けられました。アプリの制作年が古いものは、そもそもガイドラインがなかった時代に作られているので、バラツキがあるのかもしれません。

そんな中、ある種の潔さを感じたのが、史料が限られる大和郡山城のケース。実は同アプリにおいては「この郡山城再現CGは、江戸時代の絵図に描かれた郭や建物の配置を参考にしつつ、豊臣秀長時代の様子を想定して作成したものです。学術的・実証的に復元したものではありません」と、いわゆる「学術的な復元」とはズレがある旨が明示されています。評価が割れるところかもしれませんが、筆者個人としては、無根拠にもっともらしいVRを示すよりは、よほど真摯な姿勢ではないかと思いました。今後はこのような実態も踏まえ、考証・およびその割愛ラインがさらにブラッシュアップされていくのではないかと思います。

ちなみに、村上城の場合、現時点で明らかになっている史料だけでは、相当の「考証の割愛」をしない限り、文化庁ガイドラインが言うところのVR化は難しいと思われます。

付記:リアル建造物の復元に関し(2021.02.07)

VR・ARに関する上記の指針に続き、リアル建造物の復元に関しても文化庁から指針が出ています。2019年8月に公表された「天守等の復元の在り方について(取りまとめ)」、これを受けて2020年4月に示された「史跡等における歴史的建造物の復元等に関する基準」は城オタ的には要チェックですね。

初稿:2018.12.01/2稿:2018.12.14/3稿:2019.01.23/4稿:2019.05.09/5稿:2019.06.01/6稿:2019.06.25/7稿:2019.07.26/8稿:2019.12.24/9稿:2020.04.30/10稿:2020.06.24/11稿:2020.07.07/12稿:2020.08.25/13稿:2021.01.22/14稿:2021.02.07/15稿:2021.03.05/16稿:2021.04.02/17稿:2021.04.30/18稿:2021.06.03/19稿:2021.08.27/最新稿:2021.09.02