屋根は何で葺かれたか?(1)
復元予想図の「茶色い」屋根
明治の破却によって、すべての建築物が失われた村上城。かつての姿を示した「復元予想図」として最もよく知られているのは、「お城山とその周辺整備基本計画」(1992)で示された右のイラストであろう。登城道の入り口にある大看板、村上市教委の公式パンフレット、あるいは城関連の雑誌などで目にした人も、きっと多いのではないだろうか。
筆者がこのイラストを初めて目にしたのは「ふるさとの日推進委員会」が村上市民向けに1992年に配布したチラシにおいてであった。まともな再現イラストのなかった当時、非常に鮮烈な印象を受けたことを覚えている。
だが、このイラストの初見時から、筆者はある疑問を持っていた。それは、なんで屋根が茶色なんだ―という、絵を見てそのまんまの疑問である。
城の屋根と言えば瓦葺が一般的である。もしイラストを描くとしたら、灰色ないしは紺色で描くのではないだろうか―。疑問をかかえつつも当時まだ中学生だった筆者。それ以上調べようともせずに、「まあ、再現イラストなんだから、そんなに厳密に考えていないんだろう」と、放置してしまった。
■村上市の復元イラスト
(ふるさとの日推進委員会『広告』より)